こんにちわ
久しくブログ自体の更新も開いてしまいました。私的にもフォルダの写真を見て「あぁ更新せねば」となっていたので久々に更新します。今回もトラベルミステリーシリーズより「アルプス誘拐ルート」です。
製薬会社の一人娘が運転手ごと学校帰りに誘拐される事件が発生。
犯人の要求に従い、新宿発臨時急行「パノラマエクスプレスアルプス」に乗り込んだ十津川班と父親。要求通り身代金を投下し事件は一件落着・・・かと思いきや、父親は刑事たちの残る列車内で射殺体となって発見される・・・。
誘拐と出ると付きものなのが車。ということで、ここしばらく出る機会の少なかった劇用車たちが久々に多数登場します。
まず十津川班の覆面車として、遂にあの車両が登場。
そうです。Y31セドリックセダンクラシックです。以降三橋版の末期まで、このY31がレギュラー車として顔を出すようになります(同じ個体ではない)
さて、まず冒頭。有名小学校からの下校シーンで、誘拐される少女を乗せたベンツが登場。
この右側の車種です。W126ですね。
左の車も高そうですが・・・なんじゃろか(緑ナンバーなので公用車?)
その後、無事救出された後に、少女の回想で誘拐当時の様子が出されます。
ここで犯人車として登場したのは白のカローラ。この前に身代金投下現場近くに白のカローラが止まっていたという目撃証言がありましたが、ここまではっきり出るとは・・・。
フロントから見るにE9#型ですね。当時の現行型で、年間新車販売台数1位を誇った超人気車種でした。
その後、一緒に誘拐された運転手もグルだとわかりますが、当の運転手は遠く秋田で遺体となって発見されます。
秋田県警能代署?の覆面車として登場したのはY30セドリック。
詳しい型まではわかりませんがテールランプの形状からY30で間違いないでしょう。
その前のパトカーもよくは見えませんが同じY30でしょうか。
8/19追記 コメントより能代署の覆面パトカーはY30セドリック前期4HT2000VターボSGL-E、パトカーは430セドリック前期4HT2000SGL-Eと教えて頂きました。
ありがとうございます!
後は
ラストに登場するタクシーぐらいでしょうか。車種はフロントなどはちらっとしか映らなかったので難しいところです。
と、車に関してのお話はここまでですが、今回この作品のカギとなった列車、パノラマエクスプレスアルプスについてもご紹介しておきましょう(注意!トリックのネタバレを含みます!)
パノラマエクスプレスアルプスは国鉄民営化直前の1986年に登場した列車です。
中央本線及び大糸線での雄大な山岳風景を、遮るもののない前面展望という形で楽しむことをセールスポイントとし、「展望」をテーマとして大井工場で誕生しました。
車両は中央本線急行の特急化などによって余剰が出始めていた松本運転所の165系を使用。大型窓と新造された展望車体を持ち、車内はラウンジや個室を設けた豪華な内装としました。
国鉄分割民営化直前の1987年3月に臨時急行として運行を開始。
新宿~松本を1日1往復した他、ときに他の165系改造車と共に、各地での臨時運転がおこなわれました。
さて、この下り列車は劇中では6:42に新宿を出発。途中塩山に8:12、甲府に8:43、岡谷に10:16に到着しています。
犯人は塩山で降りて松本手前の列車内で誘拐した子供の父親を射殺します。
今回は1991年の時刻表でこのトリックを解説します。
※ドラマ放映時とはダイヤが異なります(撮影時期から推察して1988年10月改正ダイヤ)
ますアルプス号は塩山に8;12着、その後犯人は40分後に到着するあずさ3号で後を追います。劇中でも説明されていますがアルプスは急行。あずさは特急。スピードと停車駅の差で、両者の差はどんどん縮まっていきます。そしてアルプスは9:49に上諏訪に到着、ここで14分の停車。後続のあずさを待ちます。
そして9:56、あずさ3号が到着し発車。ここであずさはアルプスを追い越すことになります。そして岡谷に10:04。17分後に来るアルプスに乗り込むわけです。
普通なら上諏訪で乗り込むところでしょうが、乗り換えで顔を見られることを恐れたのでしょうか。
ここでアルプスはあずさに抜かれるわけですが、実はあずさに抜かれるのはここだけではありません。
それははるか前、中央本線内でした。実はアルプスが新宿を出た僅か4分後に臨時のあずさ81号が存在したのです。両者は立川、八王子と3分差でそれぞれ続行。そして中央本線内のどこかで追い越されています。
臨時のあずさに抜かれたアルプスは、先ほど話した塩山で、今度は定期のあずさ1号に追い越されます。そして、先述の通りあずさ3号に上諏訪で追い越され、挙句の果てには、塩尻で1時間20分後に新宿を出たあずさ5号に追い越され、松本までの4本のあずさに抜かれるという結果となりました。
ここまで特急が乱立したのは、当時は長野自動車道が全通しておらず、対信州への交通は鉄道が優勢だったことによるものでしょう。しかしバブル崩壊と長野自動車道の全通により、車も優勢になり始めます。
アルプス自体は2001年に運行を終了。引退後は同じ信州山梨県の富士急行に移り、「フジサン特急」として活躍。2013年に元小田急20000系、2014年に元JR371系に置き換えられて引退。引退後は下吉田駅に展望車1両が保存されています。
バブル期に誕生した豪華急行とその車内で起こるサスペンス、そして列車のダイヤに隠されたトリック。西村作品の真骨頂ともいえる内容ではなかったでしょうか。
趣旨と離れたような気がしますが今回はここまで。
次回は・・・できるだけ早めに出します。